【さみだれマキシ】第19話「裏切り」、第20話「事実」 | Right Riot

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2009年08月27日

【さみだれマキシ】第19話「裏切り」、第20話「事実」

【さみだれマキシ 四部】 第19話「裏切り」



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三国になってから、お互いの力が均衡しているために
しばらく牽制しあう日々が続き、月日はあっという間に3ヶ月過ぎた。

阿番の将軍達の絆は深くなり、より結束した強固な集合体となっていった。
そんな中、荒剣は一人違和感を感じていた。

ある日、荒剣は急に思い立ったようにみんなを集め話だした。
「チッ、お前らの生ぬるい世界に愛想が尽きた。
 てめえらのお遊びには付き合ってられねぇよ。俺は赤国へいく」

「!?仲間を裏切って赤国へいくというのか!」
アルが叫んだ。

普段怒鳴らないアルが怒ったのは珍しく、皆が息を飲んだ。
アルは裏切りとラッキョウがなにより嫌いなのだ。

「荒剣、お前には失望した!貴様みたいなゴミは今すぐ消えろ!」
「チッ、そうさせてもらうぞ」
そういって荒剣は姿を消した。

「アル、言い過ぎだ!今すぐ連れ戻してこい!」
アベはテトリスをしながら叫んだ。
「黙れアベ。ここでは私が頭だ。頭に逆らうことは反逆を意味する」
アベに言い返すことは出来なかった。

こうして荒剣は急に阿番を去り、阿番は非常に優秀な将軍を一人失った。
平和な日々に訪れた、まさかの出来事であった。

荒剣が去り、阿番の雰囲気は再び緊張に満ちていた。
いつまた違う裏切りが起こるかわからないほどの嫌な雰囲気であった。

そしてクドゥーはそれを狙っていたのだった!
クドゥーは荒剣が去った次の日、急に姿を消した。


そして阿番の貴重な資料・財貨も同時に跡形もなく消えた。
残っていたのは

『もう貴様らに用はない。』

と汚く書いてある書き置きのみであった。
そう、クドゥーは赤国のスパイだったのだ!
クドゥーはわざと阿番に取り入った振りをして情報を盗みだした。

「まずい、あの資料には阿番の計画や兵法がことこまかに書かれている!
 今すぐクドゥーを見付だし奪え!」

最悪の事態である。
あれがアカーマツの手に渡れば、
阿番は滅ぼされる以外に道はなくなる。
財貨が無ければ取引きは出来なくなり内乱すら起きかねない。

平和から一転、阿番は窮地に立たされた。
アベはテトリスを静かに投げ捨てた。



【さみだれマキシ 四部】 第20話「事実」



クドゥーはひたすら赤国を目指していた。
してやったり。クドゥーはほくそ笑んでいた。
すでに阿番を抜け出たクドゥーに追手が追い付くことは困難であったからだ。

しかし、ちょいど赤国と阿番の間に来たとき、
クドゥーは道の真ん中で見覚えある姿を目にした。

それは荒剣だった。

「おや、これはこれは。同志の荒剣じゃないか。
これからは仲良くやろう!俺は赤国のスパイだったのさ」
「チッ…やはりな。てめえはここで死ぬ」

「!?ま、まさかお前…?」

そう、荒剣はクドゥーをスパイだと見破っていた!
(クドゥーの様子がおかしい、もしや…)
荒剣は数日前から見破っていた。
それは、一流の使い手が注意して観察しなければならないほどの
小さな違和感であった。

すぐに抹殺したかったが、阿番の将軍達ははクドゥーを信頼していた、
そのためクドゥーを証拠なく殺すのはリスクが高すぎだった。

だから荒剣は演技をした。
クドゥーを一人で待ち伏せるために。
一番いい方法で阿番に尽すために。

そう、荒剣は誰より阿番が好きだったのだ。
孤独に生きて来た荒剣にとって、初めて心安らぐ場所だったのだ。


「さあ、勝負だ卑怯者。阿番は俺が守る!」
「なめるな荒剣!俺は札桑3大将軍のクドゥーだ!」

今、荒剣対クドゥーの決闘が始まった!



その頃、阿番では、
城内のみなが焦る中、アルとササキは全く動じずただ空を眺めていた。

「頼んだぞ、荒剣…。
 ササキ、気付いていたか」
「もちろんです。本当はお供したいところでしたが、
 私の力では足手まといになるだけです。
 私に出来ることは、ただ静かに荒剣に任せるだけです」

「私たちはなんとも卑怯であるよな、ササキ。祈るだけしか出来ぬとは…」
「おっしゃる通りです…。荒剣、すまんが頼んだぞ…」



「キィィィン!!」
ついに荒剣とクドゥーの闘いが始まった!

力は荒剣の方があるが、クドゥーはその天性の読みで相手の動きを先読みして
荒剣の攻撃を全てかわしていった。
クドゥーの強さ、それは天武の才である計算能力であった。

クドゥーの攻撃は威力はないものの、その計算能力を駆使した先読みで
的確に荒剣をとらえ、荒剣は気が付けば傷だらけになっていた。

「チッ、てめえ…むかつくぜ!」
「いくらほざいても戦況は変わらないぜ!お前はここでいたぶられて死んでくのさ!」
「チッ、黙れ雑魚が!」

荒剣は強がったものの、如何に自分が不利な立場にいるのは十分わかっていた。
これほどまでにクドゥーが強いとは…
荒剣は予想だにしない展開に天を仰いだ。

次回に続く。


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