【さみだれマキシ】第56話「タカシ編その3:勇気」 | Right Riot

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2009年11月25日

【さみだれマキシ】第56話「タカシ編その3:勇気」

【さみだれマキシ 十一部】第56話「タカシ編その3:勇気」



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シュン・スーケとモウ・リーはかれこれ十数年つるんできた仲間。
この「聴鏡」が成立するのは、信頼関係はもとより、
お互いの行動を阿吽で理解しあえるからだ。

「聴鏡」において、モウ・リーが指示を出してから
シュン・スーケが行動に移せるまで最低でも3秒はかかるが、
それはあくまで物理的な話である。

もはやシュンスーケにとって、
モウリーの指示の「声」には意味などなかった。

シュン・スーケはモウ・リーの指示をある程度予測し、
ほとんどの行動はその予測から成り立っているものであった。

しかし、シュン・スーケはいつも失敗を恐れ、
自ら行動に移すことをためらっていたのだった。

それは、モウ・リーと組む前、
戦術を理解できずにいつもバカにされていた時を思い出すからだ。

だが、シュン・スーケはモウ・リーと出会ってから、
「聴鏡」をマスターするために必死に勉強を重ねてきた。
覚える速度は遅く3倍程度かかってしまっていたが、
着実に知識を蓄え続け、今となっては一般の武将よりも
遥かに知識があるほどまでになっていた。

シュン・スーケの勇気さえあれば、
モウ・リーの存在がなくとも凄まじい強さを身につけられる。

そして、今その勇気が試されようとしていた!


「シュン!お前はもう過去から解放されていい。
 もう俺の声で動く必要はない!」
「だ、だが…」
「いきなりは難しいか。それでは、私の顔だけを見ろ。
 お前の視力と私たちの信頼があれば、瞳の微妙な動き、角度、径などから
 次の一手がわかるはずだ」
「…わかった、やってみるぜ」


シュン・スーケは意を決しまたタカシの元へ戻っていった。

「わざわざちょっと待っててやったんだ。
 せいぜい楽しませてくれよな!」

タカシはそう言うとさらにスピードを増して襲いかかってきた!
タカシはまだまだ本気ではなかったのだ!
しかし、シュン・スーケは見事にその攻撃に対処していった。

明らかにファーストコンタクトに比べタカシのスピードとパワーは上がっていたが、
シュン・スーケはひるむことなくそれを防御していった。
モウ・リーの声は一切しなくなり、
一瞬目を合わせるだけになっていた。

そう、「聴鏡」は「瞳鏡(ドウキョウ)」に進化を遂げたのだ。

「瞳鏡」によってスムーズな対応が可能になったシュン・スーケは、
タカシを相手に互角以上に闘えるようになっていた。

次回へ続く。


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