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2009年11月04日

【さみだれマキシ】第50話「アベとフジー編その1:悲劇」

【さみだれマキシ 十一部】第50話「アベとフジー編その1:悲劇」



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タケーマタ・フークダとの荒剣・クドゥーが死闘を繰り広げている頃、
阿番・竹保連合軍と赤国軍の闘いも始まっていた。

しかし、こちらの情勢は始まってすぐに明らかになった。
圧倒的な阿番優勢である。


阿番・竹保軍は一人前以上に成長したアベの的確な指示と、
竹保・阿番連合軍の兵力と結束力、
そして圧倒的な軍勢によって赤国軍を蹴散らしていった。

「荒剣とクドゥー、そしてタケーマタとフークダに
 泥を塗るような闘い方はするなよ!
 我れらは気高き阿番・竹保の武士だ!
 野蛮で無知な赤国などに負ける理由は微塵もないのだ!」

アベは実に兵士の鼓舞がうまく、
兵の士気は圧倒的情勢も手伝ってか最高潮に達していた。

一方、赤国の兵は元々一体感が全くなかったため、
一致団結した連合軍の迫力と覇気に気圧され、
逃走する者すら出始めていた。


もはや決着がつくは時間の問題かと思われた。


しかし、その光景は一瞬で悲惨な物に変わった。


兵が密集している場所に、突然大きな火柱が上がった。
中心にいた兵たちは阿番・竹保・赤国関係なく見るも無残に爆死した。
フジーがなんのためらいもなく、
兵士たちの闘いのど真ん中に、爆弾を投げ込んだのだ。


間髪いれずにフジーは数発の爆弾を投げ込んだ。
3か所で大きな爆発が起こる。
兵士たちは大混乱に陥った。

「下等な民どもよ、赤国繁栄のために犠牲となれ!」

フジーはもはや狂っていた。
自国の兵も関係なく、この場にいる兵を全滅させるつもりだった。
もちろん当のフジー自身は少し離れた、
爆風が避けられる場所にいた。


「阿番軍、竹保軍よ、陣形を一旦解除し、
 出来る限りフジーから遠くへいくんだ!」
アベの必死の指示も、この大混乱した戦場では届かなかった。


フジーは容赦なく爆弾を投げ続け、
多くの兵の命が失われていった。
フジーさえいなければ落とすはずのなかった、命を。


アベはこの悲劇を目の当たりにすると、
いつも持ち歩いている麻袋になにやら入れ、
馬に跨り一目散にフジーの元へと向かって行った。
(その行動は、既に決めていたと思えるほどスムーズであった。)

アベの目からは涙が止まることなく流れつづけていた。


次回へ続く。


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