【さみだれマキシ】第8話「真実」、第9話「マキシVS荒剣」 | Right Riot

【さみだれマキシ 二部】 第8話「真実」

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「なぜあのマキシが阿番の将軍に!?」
アルは当然の問いかけをマキシにぶつけた。

「もう一つ伝説をつくりにきた。この阿番を天下一にするというな」

「!?なぜ阿番を天下一にしたいのだ？
うちより新高のほうが高い金を得られるのに？」

「おれは金を要してはいない。理由はただひとつ、
　俺はこの阿番という国が好きなんだ。
　それなりに豊かで、殺しがこんなに少ない平和な国はほかにはない。
　阿番で統一できればマジネッチョリは殺しのないすばらしい大陸になる。
　他の国で天下を統一したところで争いはなくならずいつの日か国は必ず滅びるだろう。
　そう思ったからだ。」

「ということはお主は殺しを好んではいないということか…？」
「最初に言ったはずだ、殺しは仕事だとな」

「チッ」
荒剣が再び舌打ちし、荒々しい口調でいきりたてた。

「嘘をつくな！お前は何を考えている？
　その内から湧いてくるまがまがしさは俺にもない危険さを感じるぜ？」
「まあ、それはそのうちわかるさ。俺は俺だ、嘘なんかつくわけないだろう。
　正直、殺しは楽な仕事だ。しかしもう最小限しか殺しはやりたくない」


アルはマキシの裏の気持ちを見抜いていた。
「マキシ、私にそなたの真意隠せるとでも思っているのか…？」

「…」

「マキシ、きさまが願っているのは平和ではなく自分の安静の地である。
　孤独感には勝てないんだろう？」

マキシは目を閉じゆっくり話し始めた。
「…そうだ。自分は剣技も知識も極めた。
　ここにいるやつら、５分もあれば全滅させることもできる。
　しかし退屈だ。生きている以上、虚無感には勝てない。
　仲間が欲しかった」

アルは、マキシの『仲間』という言葉にもかすかに違和感を感じた。
頭のよいササキもアルと同じそれを感じていた。

「チッ…おいてめえ、黙ってれば調子こいてんじゃねぇ！
５分で全滅させられるだと!?できるもんならやってみるんだな！」

ついに痺れを切らせた荒剣がマキシに襲いかかった！

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【さみだれマキシ 二部】 第9話「マキシVS荒剣」

「死ねェ！」
荒剣は見事な太刀さばきでマキシにおそいかかる。

マキシは全てギリギリかわす。
身のこなしは間違いなく一流であった。

マキシは静かに刀を抜いた。
きれいな三日月刀である。
マキシは荒剣に負けぬ太刀さばきで反撃を開始した。
荒剣も筋肉隆々の体にそぐわぬ素晴らしい動きで、
全てひらりとかわし続けた。

「…」

アルとササキは荒剣を止めることなく静かに観察していた。

「やはりな」

ササキはそう呟くとどうしてかマキシに襲いかかった。
男同士の真剣勝負に水を差すことは、
マジネッチョリにおいてはご法度であったため、
マキシはササキの全く予期せぬふいうちに刹那、体勢を崩した。

その一瞬のすきを荒剣は逃さない。
荒剣は無言でマキシの胸を一突きした。

「マキシ、破れたり」

マキシは床に崩れ落ちた。

「伝説のマキシもなまったもんだな。たいしたことない」

荒剣はすこしがっかりした様子でマキシを蹴飛ばした。

ササキとアルはお互い目をあわせにやりとし、
ササキはつぶやいた。

「いい加減姿をあらわしたらどうですか、マキシさん」

次回につづく。