【さみだれマキシ】第10話「演技」、第11話「急変」 | Right Riot

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2009年08月15日

【さみだれマキシ】第10話「演技」、第11話「急変」

【さみだれマキシ 二部】 第10話「演技」



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「!?どういうことだ??マキシは今俺が殺ったじゃねえか!」
荒剣が今にもアルとササキに殴りかかりそうな勢いで叫んだ。

「それはマキシではない。影武者だ。
 しかし大臣の私をも欺くとはな…さあ、一番左端の奴、話せ。
 本物のマキシ。さみだれマキシよ」

「さすがアルだな。年をとったがまだ健在だな。
 いかにも、俺がマキシだ」

「 相変わらずいたずらが好きなやつよ。ふつうに登場できんのか」
アルは呆れつつも、非常に嬉しそうな面持ちであった。

「まあまあ。いつ気づいたんだ?」
「お前は仲間とかいう言葉は嫌いだろうが。
 そして三日月刀もかなり毛嫌いしてたのを自分で忘れたのか。
 影武者は姿・雰囲気はかなり計算していたみたいだが、
 過去までは真似できなかったみたいだな」

「しかし影武者とはいえかなり強いぜあいつは。よく倒したな、荒剣」
マキシが荒剣を褒めようとした時、ササキは笑いながら言った。

「ちょっとお二方」

ササキは一寸時間を置き話し始めた。
「大臣もマキシさんも演技はそれぐらいにしたら どうですか?」

大臣とマキシは驚いた顔をしてササキのほうを向いた。

「残念ながら、わたしはだませませんよ。これは私の予想にすぎませんが、
 マキシさんは大臣が雇った審査員なんじゃないでしょうか?

 あの男が影武者で本物のマキシさんの存在に気づいたとき、すべて合点しました。
 あなた達二人が過去から面識をもっていたのを知っていたので、
 最初からこう予想してはおりました。

 会場に来たときから常にマキシさんの目を意識しておりましたが、
 さすが超一流の使い手、マキシさんの視線すら感じることはできませんでしたが」

アルは思わず感嘆の声を上げた。
「さすがササキ。よくぞ見破った。素晴らしい」

気を取り直し、アルは続けた。
「そのとおりマキシはきみらを選ぶ審査員である。
 まさか気づかれるとは!実に見事だ」

「どうやって俺の影武者を見破った?」
これにはマキシも驚きを隠せないようであった。

「それは雰囲気でございます。真の殺し屋はあんままがまがしい雰囲気を
 外にだしたりはいたしません。
 影武者はかなりの使い手であることはわかりましたが、
 それ以上の気は感じませんでしたから」
「やるじゃないか…。まさかそこまで見破るとはな」

「そこまで 読まれていたんじゃ話しははやい。
 じゃあ、そろそろ合否を発表してくれ、マキシ」

「そうだな。」

「合否?おれらはみんな合格ではないのか?」
アベが驚いた口調で叫んだ。



【さみだれマキシ 二部】 第11話「急変」



「いや、この闘いで生き残っただけでは実戦で使えるかどうかは判断できない。
そこでつねに君たちを近くで観察し、評価するのをマキシに頼んだわけだ」
「なるほどな、俺らは知らない間に試されていたわけか」

マキシはちょっと間を置いた後話し始めた。
「すまない、だましていたわけではないんだ。
 しかし正直きみらほどの使い手があつまるとはな。
 さすがに驚いたよ。

 じゃあ合否を発表しよう。

 まず荒剣。その熱い心とたぐいまれな技術、プライド。
 将軍として申し分ない実力だ。

 しかし猪突猛進で、戦略的にはなにもない。
 そこをきちんと学習しておけ。

 次にササキ。先ほどの見抜きといい、その頭脳は驚愕。
 文句なしに大将をはれる逸材だ。
 ただ武術はいまいち。大将も武術は必要だ。
 これから修行に励んでほしい。

 そしてアベ。医療が劣っている阿番において、必要な素材である。
 影武者がやられたときの迅速な対応からは、
 唯一無二の優しさもあることを感じさせる。
 素直すぎてあぶなかっしいところがあるのが心配点だ」

「それで、結局のところ使えるのか使えんのかはっきりしろ」
 アベは我慢できずに詰めよった。

「すまないじらして。アル、もちろんみんな合格だ。
 アベ、たくさん働いてくれよな」
「そうだろうな。よし、皆採用じゃ!
 今日、今この場から阿番のために尽くしてくれ。
 はっはっは、こやつらを使えば天下をとれる!」

「だ、大臣様!」

急に兵士が応接の間に入ってきて叫んだ。

「どうした無礼な。騒がしい 。」
「そ、それが…大藤が陥落した模様です!」

「!?ばかな、どこの国が仕掛けたというのだ?少し早すぎる!」
「攻め落としたのは札桑です。」

「まさか!まずい!」

そう、この札桑の勢力拡大と最弱の大藤が潰れたことによって、
阿番の立場は一番下まで落ち、まわり全てを敵国に囲まれてしまったのだ。
唯一の逃げ道である大藤の陥落は、
阿番に戦闘しかないということを意味するものであった。

「これはまずいことになった…」
アルは頭を抱えて呟いた。


次回へ続く。




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