Right Riot | 邦楽、サッカー、映画、猫などが好きなfkdが好き勝手に綴るブログ › samidare-makishi › 【さみだれマキシ】第34話「赤国の企み」、第35話「1時間」
2009年09月15日
【さみだれマキシ】第34話「赤国の企み」、第35話「1時間」
【さみだれマキシ 七部】第34話「赤国の企み」
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ちょうどマキシがニッタとの戦いを繰り広げていたころ、
赤国には竹保でビビり521が流行っているという情報が入っていた。
最も強大な国である竹保に訪れた混乱。
それを赤国のフジーが見逃すはずがなかった。
それどころか、フジーはこの病原菌パニックは
阿番が仕掛けたものだということも見破っていた。
ビビり521はフジーの知見によれば、竹保の地形、
気候条件からは絶対に発生し得ないものであるからだ。
阿番が竹保にしかけているということは、
阿番の有能な武将が少なくとも1人以上いない、
さらに1人の場合は最も優秀な部下が派遣されているだろうと、
フジーは細かな部分まで完ぺきに見破っていた。
(病原菌でかなり弱っている竹保に加えて、
これを機に阿番も同時に侵略してしまう―
つまり、一気に赤国が天下統一することが、
今の赤国の戦力と爆弾兵器があれば可能であるはずだ。)
フジーの恐ろしい知性と野心によって、
赤国は二国への侵攻を決めた。
赤国軍は準備と移動を含め、ちょうど3日後に阿番、竹保に到達する計算になる。
(赤国から両国への距離は同程度)
つまり、阿番の地においては[阿番VS赤国]、
竹保においては[竹保VS赤国VS阿番]
という構図になるわけだ。
阿番は動き次第で全滅の危険が高くなる、最も難しい局面を迫られた。
重要な武将を全て竹保に送り込めば両方の闘いで敗北し、
中途半端に武将を送れば竹保の闘いでは破れてしまう。
竹保に送る分と、国を守る分、絶妙な配分で戦力を分けなければならないのだ。
アルとササキとモウ・リーの腕の見せ所となった。
ついに残る3国が一堂に会するという、
過去最悪の戦争が起ころうとしていた。
【さみだれマキシ 七部】 第35話「1時間」
マキシとニッタは半日後に阿番に到着した。
アルはマキシの表情を見た瞬間に、
事態の深刻さを理解した。
唯一、ニッタをともにひきつれていた事のみが朗報であることも理解した。
マキシから事情を聞くや否や、
阿番は戦争の準備に取り掛かった。
ササキは完全に赤国の動きを読んでいた。
「おそらく、これを機に赤国が阿番と竹保に乗り込んでくるはずです。
われわれは、戦力を的確に配置しなければなりません」
ササキはわざと竹保で流行ることがあり得ないビビり521を選んでいた。
そう、赤国をおびき寄せるために。
フジーの知性など、ササキにとっては微々たるものだった。
同盟が結べた際は赤国を一緒に潰せたが、
むしろこうして赤国も一緒に竹保を侵略できることの方が望ましい。
阿番での赤国との戦いさえ攻略出来れば、一気に天下を統一できるはずだ。
ササキはこう考えさえしていた。
ササキは実に恐ろしい男だ。
アルは全てを知った時、震えが止まらなかった。
「ササキ、モウ・リーよ。
それでは、どのような布陣を取るのがベストだろうか?」
ここで、モウ・リーが話し始めた。
「今回は私の経験上最も難しい戦いとなりそうです。
申し訳ございませんが、私とササキに1時間ほど時間をください。
この急な中1時間も、と思われるかもしれませんが、
大概どんな勝負でも準備の段階で勝敗は決しているものです。
いかに戦略の段階に時間と労力を費やせるのか。
それが勝負の分かれ目となります。ご理解ください」
「モウ・リーの言う通りです。よろしくお願いいたします」
アルは何の迷いもなくこの申し出を迷いなく許可した。
マジネッチョリにおいて、この二人の頭脳に勝るものは誰ひとりいないからだ。
「それでは、1時間で最善と思われる策を練ってくれ。
条件は、私たち武将、阿番の民を含め最も被害が少ないようにすることだけだ」
ササキとモウ・リーは黙ってうなづくと、奥の間へと姿を消した。
アルはこの1時間が戦局を大きく変えることを判断し、
武将や兵士たちに今できうる最高の指示を出した。
それは「今もっともやりたいことをしておけ」
という至極単純なものであった。
「疲れている者は、精いっぱいの休息を取れ。
愛する者に会いたいのなら、全力で走って1分でも多く会いにいけ。
力が足りないと思う者は、修行したり武器を手に入れたり戦略を練れ。
1時間後にこの場所に帰ってこい。
条件はそれだけだ。」
この指示を聞いた瞬間、武将たちは一斉に動き始めた。
この闘いの重大さ、重要さを理解させるための、
最高の言葉であった。
これが最後の闘いになる。
後悔だけは残してはならんぞ。
アルは誰にも聞こえないような小さな声で囁いた。
まるで、自分自身に言い聞かせようであった。
次回へ続く。
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