Fountain of memory 2 [川上君] | Right Riot

2005年11月02日

Fountain of memory 2 [川上君]

小学生の頃、俺は自分で言うのもアレだが結構もてた。
前にも書いたように結構いろいろできたからである。

しかし女の子にもてたわけではなく、男の子にもてたのだった。
単にもてた、とはいっても色々な意味がある。女の子に好きといわれる類の「もてた」、
友達に人気があるとかそんな意味の「もてた」、動物になつかれやすいといった意味の
「もてた」・・・・しかし俺のもてた、はどれにも当てはまらなかった。

川上君は、少し太っていてとても明るい、岡田真澄にちょっと似ている激しいテンパーの
男の子だった。川上君はそのとっつきやすいキャラクターや面白いギャグなどを言うので
男女問わずかなり人気があった。俺も川上君とは何度か同じクラスになったので仲がよく、
何度か二人で遊んだりと結構仲がよかった。川上君は面白く、ダイナミックないいやつなので
好きだった。しかしもちろん友達としてである。

だが・・・・


川上君の好きは違っていた。
俺のことをLOVEだったのだ。


いつの間にか周りは川上君は俺のことが好き、みたいな雰囲気になっていた。
俺はその展開についていけず、「あぁそうなんだ」くらいにしか思っていなかったのだが、
川上君のアプローチはすさまじかった。川上君は結構本気を出していた。


朝登校してきて校門で会うと、
「やっくん愛してるーーーーー!!!!」
と大声で叫び、

体育のサッカーのとき俺が点を決めたりすると
「どうだ!見たか!これがやっくんの実力なんだよ!バーカ!」
と不特定多数の人に意味不明な罵声を浴びせたり、

授業中に先生が
「この問題答えられる人は?」
と聞くと、毎回
「やっくんなら間違いなく答えられます!」
と無茶振りをしてきたりと、少し歪んだ愛の形も披露した。


親以外に愛してる、といわれたのは当然これが初めてであり、
親以外にほっぺにキスをされたのも川上君がはじめてであった。


川上君のキスは国語の時間に行った演劇会での出来事であった。
内容は忘れたのだが、なぜか川上君が俺の妻役であり、あるシーンで
なんなくみんなの前でキスされたのであった。
その頃には川上君が俺のことを好きだというのは周知の事実であったため、
川上君おめでとう、みたいな感じになっていて、俺は恥ずかしかった。


川上君がまじで俺のことを愛していたのかどうかは今となっては定かではないが、
川上君のアイラブユウ攻勢はその後三年間に及び、
俺はもうどうしたらいいのかさっぱりわからなかったので俺も愛してる、
とかやけくそになっていた。
傍から見たら息の合ったお笑いコンビみたいだっただろう。
ただ、息の合ったお笑いコンビと決定的にちがうところは
片方が片方をまじで愛しているところだった。


中学に行くと川上君とのかかわりも次第に希薄になっていった。
クラスがとおかったせいもあったが、俺は磯前もいなくなったことから
ようやく普通の生活を取り戻した。
そして川上君は普通に女の子を好きになっていたらしく、安心した。


川上君は今は全く関わりないのだが、彼のことだから楽しくやっていると思う。
しかしなんとも貴重な体験をさせてもらった、と思う。
川上君も磯前君も実在の人物であり、紛れもなく実話である。
こんな話が作れるんだったらとっくに作家になっているはずだ。
そう、嘘みたいな実話なのである。
トラウマにならなかったのが不思議でならない(笑)


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Posted by fkd at 19:04│Comments(0) memory
 
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