「君は森島寛晃を知っているか。」 | Right Riot

2008年12月16日

「君は森島寛晃を知っているか。」

セレッソ大阪・森島寛晃選手の引退


今回は今年引退したJリーガー・森島選手の引退ポスターをご紹介いたします。
本当に素晴らしいキャッチフレーズが書かれているポスターで、
こんなに感動したキャッチコピーに出会えて幸せでした。

ポスター紹介の前に、そんな素晴らしいボディキャッチを書かせた
森島選手について紹介させてください。

「君は森島寛晃を知っているか。」

森島選手はJリーグが始まる前からプロサッカー選手としてやっており、
1994年からJ1セレッソ大阪でプレーを開始。
その後十数年にわたりセレッソ一筋で活躍しました。

168センチと決して恵まれた体型ではないにもかかわらず、
現役通産131ゴール、日本代表では64試合に出場して12ゴール。
2度目のベストイレブン選出などなど、輝かしい成績です。

サッカープレーヤーとして素晴らしかったのは言うまでもなく、
人柄も素晴らしく、礼儀正しい紳士で、とても評判だったみたいです。
サッカーに対してもひたすら真面目で、
ヤンマー入団時の監督だった吉村大志郎は、2002年のインタビューで森島に対しては練習をやらせることを考える必要はなく、逆にいかにして練習しつづけるのを止めさせるかを考えなければいけないと語っている。

出展:Wikipedia-森島寛晃

というエピソードもあるくらいです。
実際、森島は2000年のアジアカップ後に、
オーバートレーニング症候群と診断されたこともあったとのこと。

そんな森島選手も、けがには勝てませんでした。
2007年から原因不明の首の痛みに悩まされ、
今年も完治することはありませんでした。

2008年10月30日。
森島選手は現役引退を宣言しました。



引退試合ポスターの愛にあふれたキャッチコピー



森島選手は様々な歓喜と悲劇を味わいました。

2000年、最終戦に勝てばセレッソ大阪初のJリーグ優勝、
という場面では延長Vゴール負けを決し、
2005年も、最終戦に勝てばJリーグ優勝という試合で、
最後の最後、後半ロスタイムに同点ゴールに追いつかれて優勝を逃しました。

これは、どちらともセレッソ大阪のホームスタジアムの長居スタジアムで起こったことで、
後に長居の悲劇と呼ばれています。

しかし、長居での歓喜もありました。
2002年日韓ワールドカップでのゴールです。
第3戦チュニジア戦、森島選手の素晴らしいゴールによって
チュニジアを破り、悲願の決勝トーナメント進出を決めたのです。

他にも二度のJ2降格など、森島選手には様々な苦難がありましたが、
他のクラブにいくことなく、セレッソ一筋を貫き通した森島選手。
サポーターはそんな”モリシ”に敬意を払って
ミスターセレッソ」と呼ぶようになりました。

そんなモリシの最終戦のポスターは、
モリシへのファンの愛が溢れるものになりました。
いいサッカー人生だったのだと思い知らされ、
うらやましくなります。


3枚あるのですが、
どれも素晴らしいので全てご覧ください。


ポスター①[君は森島寛晃を知っているか。]


「君は森島寛晃を知っているか。」
※クリックすると拡大画像をご覧いただけます。

ポスターの中の文はこちら。
168センチの情熱。
走り続けた18年。
セレッソへの愛情。
労をおしまぬ動き。
94回揺れたネット。
1995年元旦までの快進撃。
来日したクラブの監督が言う「あの8番は誰だ?」。
1998年開幕からの7試合。
ピッチにうずくまった2008年5月27日。
2002年、2004年元旦に流した涙。
幾度となくピッチに舞い上がった飛行機。
日本中が歓喜した2002年6月14日。
モリシのゴールが見たい。
モリシがいるからという理由でサッカーを観る人々。
2005年12月3日。
タイトルへの渇望。
痛みと戦う日々。

そして、2008年12月6日、最後の勇姿。
―この瞬間を見ずして、森島寛晃を知っていると言えるのか。



ポスター②[森島寛晃ができること。]


「君は森島寛晃を知っているか。」
※クリックすると拡大画像をご覧いただけます。

ポスターの中の文はこちら。
勇気を持つこと。
挫折を乗り越えること。
0対9でもあきらめないこと。
仲間を信じること。
スタンドと心をひとつにすること。
決して驕らないこと。
相手サポーターに「モリシは特別」と言われること。
キャプテンマークの意味を示すこと。
日本中に喜びをあたえること。
夢を叶えること。
夢をあきらめること。
それでも夢を抱くということ。
走り続けること。
クラブを愛すること。
サポーターを愛すること。
決して悔いを残さないこと。

そして、2008年12月6日
最後の闘志を燃やす事。
―ならば今、君がモリシにできる事はなんだ。



ポスター③[彼が立つピッチ。]


「君は森島寛晃を知っているか。」
※クリックすると拡大画像をご覧いただけます。

ポスターの中の文はこちら。
あふれるオーラ。
止まらないシルエット。
飛び立つ翼。
うずくまる姿。
獣か、ハンターか、それともまんまと逃げきる兎か。
侍の精神力、忍者の身のこなし、(商人の物腰)。
人をひきつける魅力と、相手を置き去りにするプレー。
最初で最後のプレーヤー。
次代に引き継がれるプレーヤー。
美化されず劣化しない鮮明な記憶とともに、彼は人々を幸福にする空間をつくる。
そう、彼はプレーで人々をしあわせにしてきた。

そして、2008年12月6日。
―今度は私たちが彼をしあわせにする番だ。



必然でできたコピー


このコピーはきっと頭を捻って出したものではないと思います。
モリシへの想いを綴っただけ。

もちろん語呂や細かい言葉の言い回し、タイミングはプロならではのもので、
さすがという気がしますが、
そんな技術は重要ではなくて、
モリシへの愛がしっかりと感じられるから素晴らしいのです。

引退試合の宣伝だけど、全然宣伝になっていない。
むしろ最後は強制しているくらいの言い回し。
だけど、それが素晴らしい。

ならば今、君がモリシにできる事はなんだ。
この瞬間を見ずして、森島寛晃を知っていると言えるのか。
今度は私たちが彼をしあわせにする番だ。


そう、モリシが好きなら最後のプレーを見に行くのが礼儀。
これは広告ではなくて、忠告です。
モリシが大好きなファンからの忠告なのです。


森島寛晃は永遠に


モリシがいるからという理由でサッカーを観る人々は、
美化されず劣化しない鮮明な記憶と共に、
永遠に語り継いでいくでしょう。

夢を叶えること。
夢をあきらめること。
それでも夢を抱くということ。

それが、
森島寛晃という人間だということを。

ありがとう、モリシ。
本当にお疲れ様でした。


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