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2008年12月14日
サカナクションを聴け
心震える音楽との出合い
昔は一年に数組、鳥肌が立つ音楽を奏でる音楽に出会っていたような気がする。
しかし久しく、心震える音楽は現れていなかった。
近頃はくるりだとかクラムボンだとか、
敬愛し尊敬している音楽ばかりを聴いていた。
前よりいいアーティストに出会うための”センサー”が働かなくなってしまったのか、
はたまたセンサーに引っ掛かるアーティストに出会っていなかったのか。
まあどちらにせよ、どちらにでもないにせよ、
素晴らしい音楽を安穏と聴く日々であったことは確かだ。
いいに決まっている音楽を聴く。
それで十分だった。
それ以上の幸福を望むことは我が儘なことであるとわかっていた。
しかし出会ってしまった。
「サカナクション」という得体の知れないバンドに。
本当に久しぶりの衝撃だった。

サカナクション/NIGHT FISHING
これで安穏な日々は送れなくなる。
新しい刺激を、それもとてつもない重さと鋭さの刺激を得てしまった体は、
鼓動の心地よさを、ドキドキと高鳴る興奮を覚えてしまったからだ。
砂漠でオアシスを追い続けるような、
飢餓と幸福の日々ことであることは知っている。
しかしもう簡単には戻れない。
それほどサカナクションにやられてしまったのだ。
ナイトフィッシングイズグッドという”作品”
ナイトフィッシングイズグッドという曲がある。
僕を渇望の砂漠へと誘った、
サカナクションの恐ろしさがこれでもか、
というくらいに詰まっている『作品』だ。
サカナクション/ナイトフィッシングイズグッド
あえて『作品』とかいたのには、もちろん訳がある。
単なる曲と呼ぶにはあまりに不相応で、
失礼であると思うからだ。
この曲には作品というべきほどのストーリーが存在している。
それも、極上の起承転結が書かれた、
ドラマチックで繊細で独特なものだ。
たった5分の間に展開される至極のシナリオ。
そのシナリオを簡単に紹介したいと思う。
ぜひ、一度全部聴いてからご覧になってほしい。
【起~(Aサビ、Aメロ、Bメロ)】
ナイトフィッシングイズグッドはその名の通り、
夜の闇の中での静かな釣りを連想させるが如く、
穏やかで美しいメロディーから始まる。
静かで力強いAサビからはじまり、
その流れを組んだAメロ、Bメロと続く。
耳障りな部分がまったくなく、本当に美しい。
曲の流れも自然そのもの。
穏やかな池に浮かぶ花びら、漂う魚。
全ての情景に悠久の時間を感じさせる、
静かで力強い物語が想像される。
物語の導入としてこれ以上ない仕上がりだ。
読み手(聞き手)もスムーズに物語に入れる。
いい物語にはいい出だしが欠かせない。
【承~(Bサビ)】
これまた美しいBサビで物語は一旦完結を迎える。
何事も起こらないけど心に残る、かもめ食堂のような物語。
ただし、ユリイカのような緊張感はない。
ここでおわっても、素晴らしい曲であることは間違いない。
しかし記憶に残るかと言えば疑問符を打たざるを得ないだろう。
ナイトフィッシングイズグッドという曲が、
なぜ記憶に残るものに仕上がっているのか。
それはCメロ~Dメロ~大サビ部分の構成が、
比類ないものになっているからだ。
【転~(Cメロ、Dメロ)】
Bサビがおわった途端、曲調は大きく変化する。
なんてことないピアノの連打。
単一音が無造作に鳴り響くだけの8秒間。
この8秒間が肝。
静けさを保っていた池に小さな石を投げ込むと、波紋が広がる。
波紋は初めは小さい。
しかし次第に波紋は大きく広がり、池全体に影響は及ぶ。
穏やかさを保っていた池に訪れた僅かな変化。
ピアノの連打は投げ込まれた小さな石そのもの。
波紋は加速度を増し広がっていく。
ついて行くのが精一杯なほどの、
日常に違和感を訴えるかのようなCメロ。
また新しい曲が始まったのかと思うほど旋律は変わりはじめる。
さらに。
転調にようやく慣れてきたとき、
Dメロで畳み掛けるようにメロディーが急変する。
もはや原曲の面影はない。
不思議。
その言葉がぴったりなテンポとメロディー。
変態といってもいいかもしれない。
合唱?オーケストラ?どう表現すべきなのか、
はたまた表現しないべきなのか。
そうだ。ここは河じゃない。
海だったんだ。

その事実にようやく気づく。
穏やかだけじゃない。
力強さや包容力も兼ね備えた大きな海。
小さな池の物語ではなく、壮大な海の物語だったのか。
【結~(大サビ)】
あとは感動のクライマックスに向かうだけ。
すべての力を振り絞って作り出したかのような、
完璧な大サビを経て盛大なアウトロにて物語は終わる。
残るのは壮大な物語を読んだ後のような清々しさ。
展開の凄さに驚き、あまりにも美しいエンディングに感動の涙を流すような、
後悔が微塵も残らない物語。
こんな完成し尽くした曲(ストーリー)を聴いたのは本当に久しぶりだった。
coldplayやoasisのような完成度、
というのは言い過ぎかもしれないが、
僕は比較しても遜色ないと思う。
恐るべきシナリオ性をもつ曲。
それがナイトフィッシングイズグッドだ。
紛れもなく名作と呼べる。
いや、名曲と呼ぶべきだ。
日常の退屈から抜け出さないか
ただ漫然と、流れ作業のようにメロとサビが同じ順番で繰り返される。
それも、メロもサビもどこかで聴いたことのあるようなメロディー。
そんな「日常の音楽の退屈」の中から抜け出してみないか。
抜け出す方法は簡単。
サカナクションを聴け。
5分であなたの人生が変わる。
かもしれない。
ちなみに、不思議なバンド名は
「魚の動きのように軽快にアクションしていく」
という意味を込めてつけられたみたいです。
魚+アクション。
まさに、その名の通りの素晴らしいバンドだ。
今後、絶対に目を離してはいけない。
サカナクションのblog
んちゃ。




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